明洞や蚕室の観光エリアで、外国人、特に中国からの観光客を狙ったデモが増えていると報告されています。去年は数えるほどだったのに、今年は数十件規模にまで膨らんだそうです。拡声器の大声や挑発的なプラカードに、足を止めた旅行者が不安そうに視線を落とし、商店のスタッフがそっと入口で立ち見している状況。
現場では、そんな小さな緊張が積み重なっています。
韓国の国会でもこの問題が取り上げられ、観光の要所でのヘイト性の強い集会が急増していること、そして観光当局の対応が「モニタリング」にとどまっているのではないかという指摘がありました。観光はまず安心が土台です。そこが揺らぐと、どんな名所も色あせて見えてしまいます。
私は、ここで「対立」を声で押し返すより、「人を守る段取り」を静かに増やすことが大切だと思います。
- 困ったときに駆け込める場所を、地図と掲示でわかりやすく示す。
- 多言語で「ここに連絡してください」を貼る。
- 商店会・自治体・警察・観光機関の連絡線を一本化し、現場がすぐ動けるようにする。
- デモの導線は観光の主通りから切り、衝突の芽を早めに避ける。
旅人の皆さんには、怖いと感じたら無理をしないでほしいです。スマホを向ける前に一歩下がり、駅や大型店に入り、スタッフに声をかけてください。宿や観光案内の緊急連絡先を紙やメモアプリに控えておくと安心だからです。
ソウルは、新しいものと古いものが肩を並べる活気のある街です。だからこそ、入口で「歓迎しない」という空気が広がるのは似合いません。私は、明洞、そしてソウル全体が「ようこそ」「また来てください」と言える場所であり続けてほしいと心から思います。今日の通りの空気を少しでもやわらげる手当てを積み重ねれば、失いかけた信頼は必ず戻せます。人は、やさしくされた場所を忘れませんから。

